若葉きらめき、風薫る季節、
皆様いかがお過ごしでしょうか。
ひと雨ごとに緑深まり、夏へと近づく一方で
明け方や夜はまだまだ肌寒いーー。
今回はそんな季節のグラデーションを感じながら作った一皿をご紹介したいと思います。

コースの2皿目にお出ししているのは
「Après la pluie -アプレ ラ プリュイ-」。
直訳すると、雨開。雨上がり。
草木を濡らす、翠雨の後にできた冷たい水溜り。
そこに映る、清涼な新緑をイメージしました。

サラリと冷たく、透明感のある液体はフヌイユのブイヨン。
新緑の雫のような苦味と薫りのオイルを垂らし、
淡い鴇色の石鯛、瑞々しいグリーンアスパラガスを重ねています。

アスパラガスはポキッと快い食感で、
熟成により一層力が増した石鯛は、肉厚でねっちりとした歯ざわり。
脂がのっているのにくどさはなく、
媚びない、凛とした甘味が、
アスパラガスの内に宿る塩味を引き立ててくれます。
夏へ向けて、身体が求める潤いを 旬の食材から補給する心地よさ、
透明感に満たされるような感覚を 楽しんでいただけますと幸いです。
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